私はこれまで色んな広告に携わってきましたが、キャリアの一番最初は某R社の求人広告のセールスでした。その時若干20歳。同僚には私よりも社会人経験が豊富な先輩方や、将来を約束された有名大学出の新卒者達と、名前に違わぬ人材が揃っていました。
一方で私には特に誇れるものはなく…。強いていえば20歳までに経験した職歴が豊富という事だけ。
レジの店員や飲食店での調理にホール、夜の店でのボーイ、塗装業、パン屋でパンをこねこね…。と、10代から親元を離れて生活していたので生活費を稼ぐためにできる事は何でもやってたし、今考えるとバイタイリティに溢れた若者ですね笑
そんな私がなぜ広告業界を志望したかというと、まずはスーツへの憧れ!やっぱりスーツをビシッと決めて颯爽と街中を歩くサラリーマン達を見るとザ大人を感じたんですよね。特に学歴もない私ですが、スーツを着て働く大人=エリートだと考えてました。
中学生あたりから洋服と洋楽にのめり込んでいて、洋服だとPPFMやらシマロンやらBEAMSが好きでお年玉や小遣いをためては東京へ服を買いに行ってましたねー。※初竹下通りで偽ブランドTシャツを外人から買ったのはよき思い出…
洋楽はMR.BIGやブライアンアダムス、スウィングアウトシスターズ、ボンジョビをローテで聴いてたんですけど特に好きだったのはジャミロクワイ(ジェイケイの信者でした)。ジャミロだけは今でも作業中に聴いてるなー。
日清カップヌードルのCMといえば皆さんも馴染みかあるかもしれません。
※ちなみにこの「Virtual Insanity」はその年のMTV Video Music Awardsで4部門に輝いた超有名なMVです。
まだ当時は明確になりたいものがあった訳ではないというか、なんとなくクリエイティブなものに感化されやすい人間だったんだなと思います。
そんな私にようやく明確な目標を与えてくれたのが一つのドラマです。
恋のチカラ
堤真一さん演じるクリエイターの葛藤や生き方が感情豊かに表れさながら組織からの孤立、事業の成功というサクセスストーリーあり、深津絵里さんとの職場内での恋愛描写ありと、今見てもこんなシチュエーションの主人公になりてぇ〜と心から思わせられる作品です。
私はこのドラマでクリエイティブデザイナーという仕事を初めて知り、広告の業界に興味を持ちました。大人=スーツという単純な憧れではなく、スーツを着て広告に携わる仕事がやってみたいと思ってからもうすぐ四半世紀ですかね。
求人広告から始まり、地域情報誌、会社パンフレットやポスター、WEBサイトと様々な広告に携わってきましたけどやっぱりいつも思うのは広告ってメッセージであり、表現であるという事なんですよね。
私はなぜ洋服が好きだったのか?自分を表現したいけど上手く言葉にできない、だから洋服を通して自分という人間を発信したい、理解してほしい。私はこんな人間です!をアピールできる。
なぜ洋楽が好きだったのか?邦楽と違って歌詞の意味もわからないし、言葉の意味すらもわからない。だからこそ単純な音楽として聴けた事。言葉がわかる、既に意味を持つ事に自分を形容されたくなかったんでしょうね。
クライアントとの打ち合わせでもよくこんな話をします。
・この広告を見たユーザーにどんな感情を与えたいですか?
・その感情から得られるポジティブな事象を可能な限り考えてみましょう。
・その事象は貴社にとって幸せですか?
広告に正解も間違いもないんですけど、感情に訴えかける事ができるというのは紛れもなく事実だと信じています。感情に訴えかけるためにデザインという表現したり、発信というコミュニケーションで常に新鮮さを保つ事もできる。だから広告は面白いですよね。
固定概念や枠に囚われない、答えもなければ正解も間違いもない。広告は自由そのものだなと。だから難しいですけど、自分が携わった広告で多くの人が何かしらのアクションを起こしてくれるきっかけになるというのはすごい事だなとつくづく思います。
今でも変わらず広告の世界で仕事をさせて頂いて、今年は独立もした。憧れの貫井功太郎(堤真一の役名)みたいにデザイナーではないけれど、広告のディレクションやプロモーションを考えるクリエイターとして、自由な表現で世の中に発信ができる。まだまだ発信が足りてないなと思いますし、やりたい企画もたくさんあります。
アクセル全開でこれからもやっていかねば!と考え、自分がなぜ広告の仕事をしているのか?広告の何が好きなのかを再認識すべく長々と自分語りをしてしまいました。(すみません)ご拝読ありがとうございました。